韓国の時間制保育、うちの子に合わせた「慣らし保育」のコツ

韓国の時間制保育のために用意された、明るく清潔な空の保育室。

初めて保育室の扉を開けた瞬間、まだ10か月の娘がきょろきょろと室内を見渡す表情が忘れられない。未熟児として生まれ、NICUで最初の日々を過ごした彼女が、生まれて初めて「家以外の場所」に踏み入れた瞬間だった。先生たちが「かわいい!」と目を細めながら近づいてきて、私は心の中でひっそりと思った——「親になるとは、こういうことか」と。

韓国の時間制保育(시간제보육 — sigan-je bo-yuk)利用方法を調べ始めたのは、妻の韓国語クラスと私の新しいビジネスの準備が重なった時期だった。正直に言えば、罪悪感ではなく、「これは正しい選択なのか」という静かな問いが頭を離れなかった。でも実際に利用してみると、各種の利用者満足度調査で9割を超える保護者がサービスに満足し、育児負担の軽減に役立ったと答えているのが、数字だけでなく体感としても納得できた。未熟児として生まれたお子さんの成長支援を模索している方にとって、この記事が少しでも参考になれば嬉しい。

📌 クイックサマリー:
韓国の時間制保育は、在宅育児中の家族が時間単位で保育施設を利用できる国の公認サービス。月60時間まで政府支援があり、韓国国籍の子どもの自己負担は1時間あたり2,000ウォン(住民登録番号を持たない外国籍の子どもは支援対象外で、全額の5,000ウォン)。アイサランポータル(childcare.go.kr)から予約でき、外国籍の子どもも利用可能(手続きと費用が少し異なる)。独立班と統合班の2種類があり、初めての利用は「1時間・保護者同伴」からスタートするのがおすすめ。
リビングで、独立班・統合班など時間制保育の選択肢を検討する保護者。
| 画像:Geminiで生成

時間制保育とは——韓国独自の「必要な時だけ使える」保育サービス

時間制保育とは、在宅で育児をしている家庭が、指定された提供機関(어린이집 — eorin-i-jip、つまり保育所や육아종합지원센터 — yuga jonghap jiwon senteo、育児総合支援センターなど)を時間単位で利用し、使った時間分だけ保育料を支払うサービスだ。正規保育に通っていない子どもが対象で、月60時間まで政府が支援する。

費用の仕組みは、子どもの在留資格によって変わる。1時間あたりの利用単価はどの子も一律5,000ウォン。このうち政府支援金(1時間3,000ウォン)が適用されるのは、부모급여(bumo geup-yeo — 親給付金)または양육수당(yangyuk sudang — 育児手当)の受給対象——つまり韓国国籍と住民登録番号を持つ子どもに限られる。支援が適用される場合の自己負担は1時間2,000ウォンで、月60時間まで。60時間を超えた分は支援が外れ、1時間5,000ウォンの全額自己負担となる。

ここが外国籍家族にとって最も重要なポイントだ。외국인등록증(oegugin deungnokjeung — 外国人登録証)だけで住民登録番号を持たない外国籍の子どもは、부모급여・양육수당の対象外のため、時間制保育の政府支援金(3,000ウォン)も適用されない。この場合、最初から1時間5,000ウォンの全額自己負担——韓国国籍の子どもの2.5倍になる。我が家は娘が韓国籍のため2,000ウォンで利用できたが、お子さんの在留資格によって負担額が変わる点に必ず注意してほしい。

なお、부모급여や양육수당を受給していても、時間制保育を利用したことでこれらの給付金が減額されることはない。給付金は別途そのまま支給され、保育料の支払いとは切り離されている。

💡 よく誤解されること: 「時間制保育を使うと親給付金や育児手当が減る」と思っている方もいるが、それは正確ではない。これらの給付金は別途そのまま全額支給され、時間制保育の利用とは切り離されている。なお保育料は国民幸福カードで支払うのが原則で、国民幸福カード以外(現金など)での支払いは全額自己負担になる点には注意してほしい。
💡 海外発行カードは使えない: 保育料は施設の端末で국민행복카드(gungmin haengbok kadeu — 国民幸福カード、韓国国内で発行されたもの)で支払うのが原則だ。本国の銀行やVisa・Mastercard等の海外発行カードは公的バウチャー網で弾かれ、端末では決済できない。外国人登録証を取得したら、早めに国内の銀行で外国籍名義の国民幸福カードを作っておくとよい。合法滞在の外国人労働者・結婚移民・留学生も発行可能だ。
「아이사랑(アイサラン)」ホームページ(childcare.go.kr)。時間制保育の情報や予約の入口。
韓国の各種保育サービスの公式ポータル「아이사랑(アイサラン)」(childcare.go.kr)のトップページ。

独立班と統合班——どちらを選ぶか

韓国の育児サービス、どこから手をつければいいかわからない?

時間制保育の手続きや費用、外国籍家族への対応など、疑問や不安があればJinに気軽に相談してください。韓国在住の多文化家族として、同じ経験から一緒に考えます。

Jinに相談する

時間制保育には2つのクラス形態がある。

独立班(독립반 — doknip-ban)は、正規保育クラスとは完全に分離された専用クラスで、担任の先生も別に配置される。対象は生後6か月〜36か月未満の乳幼児。平日の9時〜18時の間で利用できる。

統合班(통합반 — tonghap-ban)は、正規保育の定員に空きがある場合にその枠を時間制保育として活用する形式。対象は生後6か月〜2歳クラス(2세반)の乳幼児。2세반の対象年齢は出生日基準で毎年変更されるため、最新の基準は必ずアイサランポータル(childcare.go.kr)で確認してほしい。利用時間は平日9時〜16時で、午前(9時〜12時)・午後(13時〜16時)・終日(9時〜16時)の選択が可能だ。

うちの娘は未熟児で生まれ、10か月時点でも同月齢の子より小さかった。最初は同年代の子と同じクラスに入れることに少し不安があったので、独立班を選んだ。これはあくまで私たち家族の判断であり、どちらが正解というわけではない。それぞれの子どもの状況や親の感覚で選んでいい。

「독립반(独立班)」「통합반(統合班)」を選ぶ画面。地域とあわせて施設選びの鍵になる。
「独立班(독립반)」か「統合班(통합반)」かを選択する画面。この選択と居住地域が、適した施設探しの鍵となる。

ただし、私が住んでいる水原市効行区エリアでは、独立班を設けている施設がわずか1か所しかなかった。統合班は3か所あった。提供施設が少ない分、独立班の空き枠はあっという間に埋まる。このことは予約戦略として頭に入れておいてほしい。

保育施設への入園前に、乳幼児健診の記録を取得しておくことをお勧めします。一部の保育園や幼稚園では健診記録の提出が条件となる場合があります

アイサランポータル登録と予約の流れ

利用するにはまずアイサランポータル(childcare.go.kr)で会員登録が必要だ。登録には공동인증서(gongdong injeungseo — 共同認証書)または금융인증서(geumyung injeungseo — 金融認証書)が必要になる。

韓国で時間制保育を予約するには、認証書でのログインが必要になる。
「공동금융인증서(共同金融認証書)」でのログインを求める画面。オンライン予約に必要な認証ステップ。

外国籍のお子さんの場合、保護者によるオンライン登録だけでは完結しない点に注意してほしい。외국인등록증(oegugin deungnokjeung — 外国人登録証)を持つ外国籍の子どもは、시군구(si-gun-gu — 市区郡)の担当窓口と管理機関の両方でそれぞれ子どもの登録手続きが必要だ。登録後は継続して利用できるので、最初に少し手間がかかるだけだと思ってほしい。

登録が済んだら予約に進む。独立班はオンライン(PC・モバイル)と電話(1661-9361)の両方で予約でき、利用日の14日前の午前9時から予約受付が始まる。当日予約は利用開始の1時間前まで可能だ。統合班はオンラインのみ、利用日の前日24時まで予約できる。

キャンセルには注意が必要だ。減点(벌점 — beoljeom)なしでキャンセルできるのは利用日の5日前まで。それ以降は取消が遅れるほど減点が重くなり、当日キャンセル・無断欠席(ノーショー)・予約時間の超過利用には特に大きな減点が科される(点数の幅は自治体により異なる)。そして当月の累積減点が-7点に達すると、その月に入れていた予約がすべて自動でキャンセルされ、月末までオンラインでの新規予約ができなくなる(減点は翌月1日に0点へリセットされる)。計画が変わったら、5日前までの早めのキャンセルを徹底してほしい。

💡 減点が免除されるケース: 子どもの急な発熱・感染症などやむを得ない事情で当日キャンセルする場合、診断書・処方箋・領収書などの証明書類を当日中に管轄の育児総合支援センターへ提出すれば、減点なしで取消できる。また、高濃度PM2.5の非常低減措置で休園や保育時間短縮が勧告された日も減点は免除される。慣らし保育の初月は、子どもが適応できず早めにお迎えとなる場合も最大3回まで減点なしで処理してもらえる。
「시간제보육(時間制保育)」の利用には、まず子どもの登録が必要であることを示す画面。
「時間制保育(시간제보육)」を選ぶ前に、子どもの情報登録が必要なことを示す画面。利用の前提となる手続き。
韓国で時間制保育を予約する際、利用日を選ぶカレンダー画面のスクリーンショット。
オンラインで保育予約の利用可能日を選ぶカレンダー画面。空き枠は2週間前に更新されることを示している。
利用したい時間帯を選ぶ画面。独立班・統合班など時間制保育の予約に関わる。
保育を利用する具体的な時間帯を選択するデジタル画面。柔軟な保育予約の重要なステップ。
💡 予約のコツ: 利用日14日前の午前9時に予約枠が一斉に公開される。人気施設はすぐに埋まるが、キャンセルも頻繁に発生する。こまめにポータルをチェックする習慣をつけると、空き枠を見つけやすい。独立班が1施設しかない地域では特に、早めの行動が命だ。

📍 시립봉담제2어린이집(市立鳳潭第2保育所)

住所:경기도 화성시 봉담읍 상리1길 37(京畿道華城市鳳潭邑上里1ギル37)

ℹ️ 情報: 電話:031-294-7942 / 携帯:010-9756-7941。時間制保育独立班を提供する施設の一例。利用前に電話確認推奨。

韓国 慣らし保育——私たち家族が実践した段階的な適応のコツ

施設に電話で問い合わせた時、先生から最初に言われたのがこれだった。「最初から長時間予約しないでください」と。

初回は1時間だけ予約し、私たち夫婦も施設内に一緒にいた。娘が新しい環境、新しい音、新しい顔に少しずつ慣れていく様子を隣で見守った。この「保護者同伴で短時間から」というアプローチは、子どもに「ここは安全な場所だ」と伝える上でとても有効だった。親が不安そうにしていると子どもにも伝わる。だから私たちも意識的に表情を穏やかに保っていた。

先生と楽しそうに遊ぶ赤ちゃん。初めての時間制保育に慣れるためのヒントを示す。
| 画像:Geminiで生成

先生からもう一つ大切なアドバイスをもらった。「慣らし期間の最初の数週間は、できるだけ定期的に通わせてほしい」ということだ。理由はシンプルだ。たまにしか来ない場合、子どもは「突然、知らない場所に連れてこられた」という感覚しか持てない。それが分離不安を強め、保育所をネガティブな場所として認識させてしまう原因になる。頻繁に通うことで「ここには楽しいことがある」という記憶が積み重なっていく。

我が家のスケジュールを少し紹介すると、最初の2週間は週2〜3回・1時間ずつ。3週目から少しずつ時間を延ばし、4週目には保護者なしで2時間過ごせるようになった。急がなかったことが、結果的に一番の近道だったと思う。韓国で子育てする多文化家族向けの支援ガイドも参考にしながら、娘のペースを最優先にした。

📌 慣らし保育のステップ例:
1週目:保護者同伴で1時間(週2〜3回)
2週目:保護者同伴で1〜2時間(週2〜3回)
3週目:保護者なしで1時間→徐々に延ばす
4週目以降:子どものペースに合わせて時間を調整
※あくまで一例。子どもの状態を優先すること。

持ち物は施設によって異なる場合があるが、基本はおむつ・着替え・おしりふき・個人用の水筒(水コップ)。施設では給食・おやつ・おむつの提供や貸し出しはないので、必要なものはすべて自分で用意する。予約時間に昼食がかかる場合は、お弁当や離乳食を持参するか、事前に施設へ電話で「給・間食の提供」を申し込めば、追加実費(おおむね1,000〜2,000ウォン)で温かい食事を出してもらえる。

初回登録に必要な書類は、時間制保育利用申請書・運営規定同意書・身分証明書(確認後返却)。家族関係の証明として、韓国国籍の保護者は家族関係証明書(가족관계증명서)を用意するが、外国籍の家族は韓国の家族関係登録制度の対象外で同証明書を取得できないため、代わりに법무부(法務部)発行の외국인등록사실증명서(外国人登録事実証明書)を準備する。政府24、住民センター、または管轄の出入国・外国人庁で発行できる。

韓国 子育て助成金と時間制保育の費用——賢く使うために

時間制保育は、育児中の家族にとって経済的にも助かるサービスだ。韓国国籍で부모급여・양육수당の対象となる子どもの場合、月60時間分は政府が1時間あたり3,000ウォンを負担し、自己負担は1時間あたり2,000ウォンで済む(前述のとおり、住民登録番号を持たない外国籍の子どもは支援対象外で、1時間5,000ウォンの全額自己負担)。いずれの場合も、これは韓国の手厚い子育て支援制度の詳細で紹介している各種助成金とは別に利用できる。

居住地の自治体(지자체 — ji-cha-che)独自の支援も必ず確認したい。特に華城市は外国人住民支援に積極的で、2026年からは未登録の外国人児童にも月10万ウォンの保育支援金を出すなど、全国でも先進的だ。ただしこうした自治体支援の多くは「어린이집にフルタイムで在籍する児童」向けで、時間制保育の単価割引に直接連動するとは限らない。時間制保育に充当できるかどうかは、華城市育児総合支援センターに個別に確認するのが確実だ。

繰り返しになるが、親給付金や育児手当を受給していても、時間制保育を使ったからといってその金額が減ることはない。給付金は別途支給され、保育料は国民幸福カードで支払う形になる。旧来の「アイサランカード」や「アイハッピョクカード」もそのまま使用できる点は、既存のカードを持っている保護者には朗報だろう。

なお、保育所に関する最新の公式情報は国民健康保険公団(NHIS)およびアイサランポータル(childcare.go.kr)で確認してほしい。統合班の対象年齢(2세반の出生日基準)は毎年更新されるため、利用前に必ずポータルで最新情報をチェックすることを強くすすめる。

「オアシス」という言葉が、今はわかる

韓国語で書かれたある保育士さんの言葉が頭に残っている——「急な不を消して、息を整える場所」。それが時間制保育の本質だと思う。親が一瞬立ち止まれる時間があることで、子どもの前に戻ってきた時にもっと良い親でいられる。娘が先生に笑いかけているのを見た時、「これで良かった」と素直に思えた。急がず、焦らず、子どもと一緒に新しい環境に慣れていく——それがうちの家族にとっての慣らし保育だった。

韓国の時間制保育のために用意された、明るく清潔な空の保育室。
| 写真:Gautam Arora(Unsplash)

よくある質問 (FAQ)

時間制保育を利用すると、親給付金や育児手当が減額されますか?

いいえ、減額されません。韓国の時間制保育を利用しても、부모급여(親給付金)や양육수당(育児手当)は全額支給されます。給付金は別途支給され、保育料は国民幸福カード(국민행복카드)で支払う仕組みです。現金など国民幸福カード以外の支払い方法では全額自己負担となるため、カード払いを忘れずに。

外国籍の子どもでも韓国の時間制保育は利用できますか?

はい、利用できます。ただし注意点が2つあります。1つは費用で、韓国国籍と住民登録番号を持つ子どもは政府支援により自己負担が1時間2,000ウォンですが、外国人登録番号のみの外国籍の子どもは支援対象外で、1時間5,000ウォンの全額自己負担となります。もう1つは手続きで、保護者によるオンライン登録だけでは完結せず、시군구(市区郡)の窓口と管理機関の両方で子どもの登録が必要です。登録時は家族関係証明書の代わりに외국인등록사실증명서(外国人登録事実証明書)を準備してください。一度登録すれば継続して利用できます。

独立班と統合班はどう違い、どちらを選べばいいですか?

独立班(독립반)は正規保育とは完全に分離された専用クラスで、生後6か月〜36か月未満が対象です。統合班(통합반)は正規保育の空き枠を活用する形式で、生後6か月〜2세반が対象です。どちらが正解かは子どもの状況や親の判断によりますが、独立班は施設数が少ないため予約が早期に埋まる傾向があります。利用前に地域の提供施設数を確認しておくことをおすすめします。

韓国の時間制保育の予約はどうやって行いますか?

アイサランポータル(childcare.go.kr)でオンライン予約が可能です。独立班は電話(1661-9361)でも予約でき、利用日の14日前の午前9時から受付が始まります。統合班はオンラインのみで、利用日の前日24時まで予約できます。人気施設はすぐに埋まるため、予約枠が公開される14日前の午前9時に合わせてアクセスするのがコツです。なお、減点なしでキャンセルできるのは利用日の5日前までです。

慣らし保育はどのくらいの期間・頻度で行うのがいいですか?

韓国の慣らし保育は急がないことが大切です。最初の1〜2週間は保護者同伴で1時間程度・週2〜3回からスタートし、子どものペースに合わせて徐々に時間を延ばしていくのが理想的です。先生のアドバイスとして、最初の数週間はできるだけ定期的に通わせることが重要で、たまにしか来ない場合は子どもが保育所をネガティブな場所として認識しやすくなります。子どもの反応を最優先に観察しながら進めてください。

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